2019.9.26(木)

山田耕筰が30代後半から40代にかけて書かれた、1927~29年に刊行されて曲集が『童謡百曲集』です。

ドイツから帰国して、銀座に日本初のオーケストラを結成しました。しかし団員と合わなかったりとゴタゴタがあり団員が離れていってしまいました。オーケストラがうまくいかなかったのです。

 

そんな頃、茅ヶ崎から新橋までの汽車の中で色々な作家の詩集を読みながら通っていました。いいメロディーが浮かぶと詩集の隅にメロディーを書き留めたりしたそうです。北原白秋、三木露風、野口雨情、西条八十など。温かい内容の詩に山田耕筰自身も癒されながら100曲作り上げたのでしょう。

 

童謡と名付けられていますが、おとなが幼い頃を懐かしく思い出したり、小さな子供をみつめる視線が感じられる曲ばかりです。子供が歌うにはちょっと難しいと思います。

 

有名な〈赤とんぼ〉〈砂山〉〈この道〉〈あわて床屋〉はこの曲集に収められています。

 

きれいな日本語の発音、詩の情景をふくらませる、山田耕筰の素敵なハーモニーを感じて欲しいと思って、

私は声楽の生徒さん達に課題を出してレッスンをしています。

 

 

先日、〈ひばり〉という曲をレッスンしていた時に生徒さんからひばりって何ですか?と尋ねられました。レッスンしていくと殆どの生徒さんがひばりが分かりませんでした。驚きました!

詩の一部を載せます。

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ひばり      三木露風

 

そろうた  そろうた  麦のほがそろた

はたけのひばり  天まであがれ

ピーチク   ピーチク  ピーチク

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今は宅地ばかりで麦畑も田んぼも周りにはありませんから、知らないのかもしれませんね。天高いところで綺麗な声でなく鳥。

失われていく日本の風景ですね。

 

だからこそ、次の世代に伝えていきたい曲集です。