2024.2.14(水)

先日N響定期公演に行ってきました。指揮者井上道義さんが引退前の最後の定期公演での登壇とあってNHKホール全体がボルテージがあがっているように感じました。

前半は

♢ヨハン・シュトラウス2世作曲 ポルカ《クラップフェンの森で》 クックーと鳥のさえずる平和な光景。光が降り注ぐ大きな森の中でのんびりと爽やかな空気を吸い込んでいるようでした。小さな笛でクックーのさえずりが色々なタイミングで聴こえてくるのが楽しかったです。最後に笛を落とすハプニングつきでした(笑)

♢ショスタコーヴィチ作曲 舞台管弦楽のための組曲第一番 〘後進曲 リリックワルツ 小さなポルカ ワルツ2番〙  ショスタコーヴィチは難しいと思い込んでいたので、あら〜きれい!心地よい!が第1印象。1曲目と2曲目の間で前の方のお客さまが拍手されたら、井上道義さんがクルッと振り向いて「聞いてて」とジェスチャー。お茶目なお人柄が現れていました。

どちらの曲も指揮台には乗らずに、前後左右にまるでステップしているかのような身のこなし。そして指先からオケの音が紡ぎ出されていました。各パートのソロの部分は演奏者に委ねられていました。全体とのバランスも絶妙でマスクの下で私の顔はにっこり微笑んでいました。

 

後半は

◇ショスタコーヴィチ作曲 交響曲第13番「ビバ·ヤール」

男性合唱 オルフェイ·トレンガル男性合唱団がゆっくり整列。会場からは温かい拍手がおこりました。

バスソリストはアレクセイ·ティホミーロフ

第二次世界大戦中のウクライナで起きたナチスドイツによるユダヤ人の大量虐殺がテーマ。2日間で3万人以上の人が殺されたとあります。

プログラムノートに日本語の訳があったので、それを読みながら演奏を聴いていました。同じモチーフが終わりそうかなぁと思ってもどこかでずっと鳴っている。心がザワザワとする和音に打楽器の太鼓の振動。調性のない無調。

半分ほど進んできたところで、椅子から立ち上がって「止めて!!!!」と叫びたくなってしまいました。他の方は静かに座っているのに私はどうしたの?

動悸もしてきたぁ…どうしたらいいの?

これがショスタコーヴィチの呪いなの?

一緒に行った友人は途中で靴を脱いだと終わった後に聞きました。

初めて聴いたショスタコーヴィチはやはり衝撃でした。改めて音楽の力を体感。衝撃が大き過ぎてすぐにはブログが書けませんでした。

数日たった今だから…あの衝撃は人が人を殺したり争ったりしてはいけないというショスタコーヴィチの強い思いだったのかと。じんわりとまだ心を掴まれている気がします。

カーテンコール時にN響のヴァイオリンの女性が井上道義さんに真っ赤なバラの花束を渡されていました。オーケストラの団員から愛されていることが伝わってきました。

そしてお客さまが舞台の回りに降りてきて井上道義さんに大拍手。1人で舞台に上がってこられました。先程のバラの花束を女性のお客さまに差し上げていました。お客さまからも愛されている指揮者ですね。